生産性
製造業の生産性はOECD1位から20位になった
日本の製造業の労働生産性は2000年にOECD1位でした。2025年の調査では35カ国中20位です。時間あたりで見ると、日本全体は38カ国中28位です。
日本生産性本部が毎年出している国際比較の2025年版に、順位の推移が載っています。
日本の時間あたり労働生産性は60.10ドル(購買力平価換算で5,720円)。OECD38カ国中28位です。OECD平均は79.40ドル、米国は116.50ドル。
順位の動きはこうです。2018年21位、2020年28位、2024年28位。実質成長率はマイナス0.6%で、これは33位です。
一人あたりで見ると98,344ドルで29位。G7では最下位で、米国の54%の水準です。
製造業の落ち方が特徴的
全体の順位より、製造業の推移のほうが示唆的です。
2000年、日本の製造業の労働生産性はOECDで1位でした。2005年と2010年に7位。2015年以降は15位から20位の間。2025年版では80,411ドルで20位です。
25年で1位から20位まで下がった産業が、日本の輸出の中心にあります。
ただし、2019年を100とした比較では日本は102.7%で、これはG7で2番目に良い数字です。つまり、直近では落ちていません。落ちたのは2000年から2015年にかけてです。
何が起きたのか
この期間に起きたことのひとつは、製造業の競争軸が製品単体から、製品を含めた体験に移ったことです。
同じ性能のハードウェアが複数の国で作れるようになったあと、差がついたのはソフトウェア、サポート、更新の頻度、使い始めるまでの手間といった部分でした。
前の記事で触れた「成功要因にデザインを挙げた企業0.8%」という数字は、この時期の日本の製造業がその移行に気づいていなかったことを示しています。
そしてもうひとつ、ソフトウェアを作る速度の問題があります。令和8年版情報通信白書によれば、生成AIをコード生成に使っている日本企業は7.0%です。米国は35.4%。
製品にソフトウェアが載る割合が増え続けている産業で、ソフトウェアを作る速度に5倍の差がついている状態です。
生産性は労働時間の話ではない
生産性の議論が労働時間の削減に流れることがありますが、分子と分母は別の話です。
時間を削っても、生み出す価値が同じ比率で減れば順位は動きません。実際、日本の実質成長率がマイナス0.6%で33位だというのは、分子が伸びていないということです。
分子を伸ばす方法は限られています。
- 同じ人数でより多く作る
- 同じものをより高く売れる状態にする
- 作らなくていいものを作るのをやめる
3つ目が最も効きます。そして3つ目は、技術ではなく判断の問題です。
自社で確認できること
順位の話は大きすぎるので、社内で使える形に落とします。
まず、直近1年で出した機能や製品のうち、実際に使われているものの割合を出す。使われていないものを作った時間が、そのまま生産性の分子から抜けています。
次に、企画から出荷までの期間を測る。長い場合、どこで待っているかを特定する。多くの場合、作業ではなく承認と手戻りで待っています。
最後に、その2つを四半期ごとに見る。順位は変えられませんが、この2つは変えられます。