開発
開発現場でAIを使っている日本企業は7.0%
生成AIをコード生成に使っている日本企業は7.0%。米国は35.4%、中国は33.5%、ドイツは25.0%です。開発の生産性の差が、ここから広がります。
令和8年版情報通信白書の用途別データの中で、いちばん差が開いているのがコード生成です。
日本7.0%、米国35.4%、中国33.5%、ドイツ25.0%。5倍近い開きがあります。
生成AIの全体的な利用率では日本は86.4%まで来ています。にもかかわらず、開発の現場にはほとんど入っていません。
この数字が意味していること
コード生成の利用率が低いということは、ソフトウェアを作る速度そのものに差がついているということです。
米国の開発チームの3社に1社がAIで実装を書いている状況と、日本の14社に1社という状況では、同じ機能を出すまでの時間が変わります。それが数年続けば、製品の数と改善の回数の差になります。
そしてこの差は、営業や管理部門でAIを使って埋めることができません。作る速度は、作る現場でしか上がらないからです。
使われない理由は技術ではない
現場で聞く理由は、だいたい3つに整理できます。
1つ目は、コードの持ち出しに関する規定です。 ソースコードを外部サービスに送ることが規程上できない。これは正当な懸念ですが、多くの場合は規程が生成AIより前に書かれたまま更新されていないだけです。ゼロ保持の契約形態や自社環境での運用など、選択肢は増えています。規程の更新が追いついていない状態が続いています。
2つ目は、レビュー体制です。 AIが書いたコードを誰がどう見るかが決まっていない。決まっていないので、導入すると品質責任が曖昧になります。曖昧にするくらいなら使わない、という判断は組織としては合理的です。
3つ目は、評価の仕組みです。 実装速度が上がっても、それを評価する指標が組織にない場合、導入を推進する動機が個人の裁量に依存します。
どれもモデルの性能とは関係がありません。全部、体制と規程の話です。
IPAの数字と重ねると見えるもの
IPAのDX動向2025には、DX人材の「質」が確保できていると答えた割合が出ています。日本3.8%、米国52.9%、ドイツ25.1%です。
さらに、8割以上の企業が人材不足を訴えている一方で、19.4%は採用活動を全く行っていません。
人が足りない。採用もしない。開発を速くする道具も使っていない。この3つが同時に成立している状態が、今の日本の平均です。
人が採れないなら、一人あたりの出力を上げるしかありません。コード生成の7.0%は、その手段をまだ使っていないという意味です。
始め方は限定から
いきなり全社導入を目指すと、規程と法務で止まります。実際に動いている会社は、範囲を絞って始めています。
- 対象リポジトリを限定する。 社外秘の度合いが低いもの、たとえば社内ツールや検証用のコードから始める。
- 用途を限定する。 新規実装ではなく、テストコードの生成やリファクタリングの提案から入る。レビューの負荷が読みやすく、失敗の影響も小さい。
- レビュー基準を先に決める。 AIが書いたコードも人が書いたコードと同じ基準で見る、と明文化するだけで、責任の所在は解決します。
- 測る。 プルリクエストの作成から承認までの時間、レビュー指摘数。前後で比較できる形にしておく。
この4つを踏むと、規程改定の議論に持っていける材料が揃います。材料がないまま議論を始めるので、多くの会社は最初の会議で止まります。
日本の開発者がAIを使えないわけではありません。使える体制がまだ作られていないだけです。そして体制は、各社で作れます。